
心理学実験 / 認知心理学の概念
心理学実験 / 認知心理学の概念感覚遮断実験
Sensory Deprivation Experiment
心が秩序と覚醒を保つには、多様な入力が安定して流れ込むことが必要です。入力があまりに乏しいか単調になると、注意、知覚、思考は不安定になり得ます。
人気度
有用性
別名
知覚隔離実験 / 感覚遮断 / 感覚入力低減実験 / 制限環境刺激 / REST
分野
実験心理学 / 認知心理学 / 知覚 / 注意 / 意識研究 / ヒューマンファクター / 臨床心理学
定義
- 感覚遮断実験 とは、通常の感覚入力を意図的に減らしたり単調にしたりする統制研究であり、刺激の低下が注意、知覚、思考、感情、意識にどのような影響を与えるかを調べるために行われます。
要点
- 人間の精神機能は、情報を受け取ることだけでなく、十分に多様な感覚入力を受け取ることにも依存しています。
- 感覚入力がきわめて限られるか単調になると、退屈、落ち着かなさ、集中困難、知覚のゆがみ、鮮明なイメージ、幻覚に似た体験が生じることがあります。
- ただし、こうした効果が常に感覚低減だけで起こるわけではなく、後の研究では、参加者の期待や実験上の手がかりも報告結果を形づくる可能性が指摘されています。
仕組み
- マギル大学型の代表的セットアップでは、参加者は感覚の多様性が減らされた小部屋のベッドに長時間横たわることで報酬を受け取りました。
- 視覚入力は半透明のゴーグルで制限され、触覚は手袋と段ボール製のカフで減らされ、音は半防音室、マスキングノイズ、フォームラバーの枕によって抑えられました。
- 実験者とのコミュニケーションも最小限に保たれました。
- この設定は感覚の変化を減らしたのであって、完全な感覚遮断 を作り出したわけではありません。
具体例
- 研究者が、レーダー監視員、警備員、パイロットが長時間の単調な監視中になぜ注意を失うのかを調べたいとします。
- 研究者は気を散らす刺激を増やすのではなく、新奇性と感覚変化を減らし、持続的注意や思考が低下するかどうかを観察します。
代表例
- 例: W. H. Bexton、W. Heron、Scott による1954年のマギル大学での初期の感覚遮断 / 知覚隔離実験。論文題名は Effects of decreased variation in the sensory environment です。
- このルールに当てはまる理由: この研究では、男子大学生を低変化の感覚環境に置き、落ち着かなさ、退屈、集中困難、認知課題成績の低下、視覚イメージ、知覚の乱れが報告されました。
適用場面 / 当てはまる状況
- 単調な作業環境での注意低下の研究
- 退屈、監視低下、刺激不足の理解
- 知覚変容、心的イメージ、幻覚様体験の検討
- 心理学実験で環境要因と期待要因を比較すること
- 人を対象とする実験の倫理的限界を論じること
当てはまらない場面 / よくある誤用
- これを『人は48時間で気が狂う証拠』のように扱わないこと。これは誇張された一般向けの語りです。
- 感覚遮断を、通常の孤独、瞑想、退屈、睡眠剥奪、独房拘禁と混同しないこと。
- 報告された幻覚のすべてが純粋に感覚低減だけで生じたと考えないこと。参加者の期待やデマンド特性も影響し得ます。
- この概念を、強制的隔離や尋問実践の正当化に使わないこと。
提唱 / 起源
- 提唱者: 一人が明確に『発明』したものではありません。初期の重要な人間対象の感覚遮断研究は、Donald O. Hebb の研究環境に関連する McGill University で、W. H. Bexton、W. Heron、Scott によって行われました。
- 提唱年: 一般概念としては不明確ですが、代表的なマギル大学の論文は1954年に公表されました。後年の要約では、最初のマギル研究は1951年ごろに始まったとされています。
- 発祥国/文脈: カナダ、マギル大学。背景には、レーダー監視など単調条件下での注意低下への関心がありました。
実践的な要点
- 心が秩序と覚醒を保つには、多様な入力が安定して流れ込むことが必要です。入力があまりに乏しいか単調になると、注意、知覚、思考は不安定になり得ます。