賢いブタのゲームのイラスト
ゲーム理論 / 非対称ゲーム / ナッシュ均衡の例
ゲーム理論 / 非対称ゲーム / ナッシュ均衡の例

賢いブタのゲーム

Smart Pig Game Theory

弱い側のプレイヤーなら、強い側がどうせ動かざるを得ない状況では、待つことが合理的な場合があります。強い側なら、いつも自分がレバーを押す役にならないよう、インセンティブ設計に注意すべきです。

人気度
有用性
別名
Smart Pig Game / Rational Pigs / Boxed Pigs Game / Pig Game
分野
経済学 / 経営戦略 / 組織インセンティブ / 進化ゲーム理論 / 企業競争

定義

  • Boxed Pigs Game は、強いプレイヤーと弱いプレイヤーが、共有される利益を生むためのコストを支払うかどうかを選ぶ非対称の二人ゲームです。標準モデルでは、弱いプレイヤーの最善戦略は待つことであり、強いプレイヤーがコストを負担する側に回ります。

要点

  • 弱いプレイヤーは、強いプレイヤーの方がコストを負担する動機や能力を持っている場合、先に動かないことで逆に有利になることがあります。だから、弱い側にとっては『待つ』ことが合理的であり、強い側にとっては『動く』ことが合理的になるのです。

仕組み

  • 箱の中に2匹のブタが入っています。1匹は大きく支配的で、もう1匹は小さく従属的です。
  • 片側の端にあるレバーやパネルを押すと、反対側の端に餌が出ますが、押すにはコストがかかります。
  • 小さいブタが押すと、大きいブタが餌を先に取る、または支配してしまい、小さいブタにはほとんど利益が残りません。
  • 大きいブタが押し、小さいブタが餌場の近くで待っていれば、両者とも何らかの利益を得られます。
  • Eric Rasmusen の教科書版では、唯一のナッシュ均衡は『大きいブタが押す; 小さいブタは待つ』です。

具体例

  • 小規模企業が新市場の教育に大きな費用をかけるのを避ける場合があります。その代わり、大企業がマーケティング、インフラ、顧客教育に投資するのを待ち、その後で安価な模倣品やニッチ製品で参入します。Rasmusen も似たビジネス類推を示しており、大企業が新しい製品カテゴリーの導入に費用を払えば、小企業は大企業の売上を完全には壊さずに利益ある模倣ができる場合があります。

代表例

  • 例: 大きいブタと小さいブタが囲いの中にいます。レバーを押すと反対側に餌が出ます。小さいブタは餌箱の近くで待ち、大きいブタがレバーを押してから走って戻ります。
  • このルールに当てはまる理由: 小さいブタにとって『待つ』戦略は、押すより得です。押すには努力がかかるうえ、大きいブタに餌の大半を取られてしまうからです。それを踏まえると、大きいブタの最善応答は、何も得られないより自分が押すことになります。

適用場面 / 当てはまる状況

  • 小企業が大企業の市場形成や市場教育を待つ状況
  • ある主体の高コスト行動から別の主体が利益を得るフリーライダー問題
  • 一方のプレイヤーの方が貢献する誘因が強い公共財状況
  • 強いメンバーが共有作業を担い、弱いまたは権力の低いメンバーが待つ組織状況
  • 先に動くか、待つか、模倣するか、立ち上げコストを他者に負わせるかという戦略的タイミング判断

当てはまらない場面 / よくある誤用

  • プレイヤー間の力、コスト、速度、利益へのアクセスがほぼ同等な場合には使わないこと。
  • 囚人のジレンマと混同しないこと。Boxed Pigs Game は非対称であり、『両者が裏切る』という同じ構造ではありません。
  • 『待つことが常に賢い』と考えないこと。強いプレイヤーに依然として動く誘因が十分あるときにだけ成り立ちます。
  • 信頼できる一次資料がないのに、ジョン・ナッシュ本人が Smart Pig Game を考案したと主張しないこと。確認できた資料は、Baldwin Meese の1979年のブタ実験に基づくゲーム理論例としての Boxed Pigs を支持しており、ナッシュによる明確な創案とは示していません。

提唱 / 起源

  • 提唱者: 『Smart Pig Game Theory』という名称の発案者は不明です。基礎となる実験は B. A. Baldwin G. B. Meese に帰されます。
  • 提唱年: 単一の確認済み発明年はありません。基礎となるブタ実験は1979年に公表され、その後ゲーム理論の教科書で『Boxed Pigs』の例として使われました。
  • 発祥国/文脈: 動物行動学およびオペラント条件づけ研究。その後、経済学とゲーム理論教育に取り込まれました。

実践的な要点

  • 弱い側のプレイヤーなら、強い側がどうせ動かざるを得ない状況では、待つことが合理的な場合があります。強い側なら、いつも自分がレバーを押す役にならないよう、インセンティブ設計に注意すべきです。